眠り

うとうと寝落ちしそうな時、よく見る夢。
車を運転していて、いきなりブレーキが効かなくなる夢。
しかも、山下りで急カーブの連続。

ハンドル操作で何とか乗り切るうち、目が覚める。
車を運転するようになってから、見始めた。
40年近く見ている計算になるが、未だ慣れない。

近所に、Nさんという家がある。
「寝落ちしそうなときの夢に、いつもNさんちのオバさんが出てくる。Nさんちのオバさんが出てくると、私はもうすぐ眠るんだなぁって毎晩思う」
子供のころ、妹が言ってた。

眠りに落ちるための儀式といえば、かつて私の場合は相撲だった。
自分の分身たる一人の力士がいて、彼が入門してから苦労の末にやがて横綱になる。
その長い長い物語を、寝る前の布団の中で妄想していた時期があるのだ。

それをしているうちに、いつの間にか眠っている。
何年かかけて、話は引退の場所の千秋楽まで進み。
結びの一番で、好敵手たる東の横綱と対戦するのだが。

そのころになると条件反射の効果が著しく、時間前の仕切りのうちに眠ってしまう。
かつての「アストロ球団」のような、遅々とした展開。
おかげで、布団に入ってもなかなか寝付けないという悩みとは無縁だったが。

ただ、いいことの裏には悪いことも潜んでいて。
テレビの相撲中継を見ていると、必ず途中で寝てしまう。
眠りという、摩訶不思議な世界。