映画みたいな話

同級生のN、就職して自宅からちょっと離れた地にある社員寮で暮らし始めた。
近くに、ちょっと遠縁に当たる親戚の家があった。
両親から聞いていた彼は、 ある週末に訪ねてみた。

老夫婦だけで、ひっそり暮らす家だった。
彼らはNの気性を気に入り、Nもまたその家の雰囲気を愛した。
しょっちゅう遊びに行っては食事をよばれ、そのうち泊まるようにもなった。

数年後、老夫婦は相次いで世を去った。
身近な身寄りは、いなかった。
広大な土地(山ひとつ!を含む)や、かなりの資産が遺された。

遺言で、それらは全てNに託されたという。
Nより近い親等の親族もいたが、老夫婦はいつも遊びにきてくれる遠縁の若者を選んだのだった。
こんな映画みたいな話が、本当にあるんだよなぁ。