水原弘

水原弘という人は、かつての大スターだが。
あの時代の大物芸能人によくあるパターンで、破天荒な生き方をしたという。
取り巻きを引き連れては、日々遊びまくっていた。

結果、身体を壊し。
人気も仕事もなくなってきて、それでも生き方を変えられない。
当然、天文学的な借金が。

最初のうちは、その才能を惜しんで助けてくれる人もいたようだが。
そんな好意を踏み躙ったり、約束を反古にしたりを繰り返し。
やがて、周囲から見捨てられてしまう。

そうなると、群がってくるのは闇社会。
怪しい組織から借金を重ね、また重ね。
遂には、興行権を担保に取られてしまう。

興行権を取られるというのはどういうことかっていうと、歌っても歌っても一銭も貰えないということだ。
収益は全て、組織に取られてしまう。
でも借金があるから、返し終わるまで歌わなければならない。

既に病は、取り返しのつかないところまで身体を蝕んでいた。
だからといって、休ませてくれるような相手ではない。
文字通り、死ぬまで働かされた。

組織は、余命いくばくもないことは当然知っていた。
生きているうちに、搾り取れるだけ搾り取ろうというわけだ。
一日に何本もステージを入れ、血を吐いてでもなお歌わせたという。