さいはて

マンモスが絶滅したのは、人類が食い尽くしたからだという(諸説あります)。
人類の移動とは、マンモスを追いかける旅だった(諸説あります)。
アフリカで誕生した我々の祖先は、ほどなくしてその地のマンモスを食い尽くし。(諸説あります)。

マンモス、よほど旨かったのだろう(諸説あります)。
はじめ人間ギャートルズでも、旨そうに食ってたし(諸説あります)。
いなくなったのなら、居住地を捨ててでもいるところへ行こうと決めたようだ(諸説あります)。

アフリカからヨーロッパ、陸続きだった極北の地を経てアメリカ大陸へ(諸説あります)。
マンモスのいる地を見つけては食い尽くし、食い尽くすと次の地へ(諸説あります)。
そして遂に、アメリカ大陸を縦断して最南端の岬に至った(諸説あります)。

彼らは、茫然とした(諸説あります)。
そこから先は、何もなかった(諸説あります)。
ただ、鉄色の海が広がるばかりだった(諸説あります)。

この話を聞いたとき、ご先祖たちの絶望感が手に取るようにわかった(諸説あります)。
永遠にあると思っていたものが、実は有限だったときの驚き(諸説あります)。
気づいたら最後のコインだった財布の中、ゼロになってた預金残高、空っぽの米櫃etc……(諸説あります)。

その地に永住することに決めた者は、自分たちの過ちを子孫に伝えることにした(諸説あります)。
自然は有限であり、共存しなければならない(諸説あります)。
それが、インディアンの教えになっていったという(諸説あります)。