2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

映画みたいな話

同級生のN、就職して自宅からちょっと離れた地にある社員寮で暮らし始めた。近くに、ちょっと遠縁に当たる親戚の家があった。両親から聞いていた彼は、 ある週末に訪ねてみた。 老夫婦だけで、ひっそり暮らす家だった。彼らはNの気性を気に入り、Nもまた…

ガンド猫、オガンヂメ、デゴ様

幼少のころ、暗くなるまで外で遊んでいたりすると。大人たちから、脅された。「ガンド猫(ネゴ)ニ、咥エデガレッチャード」 標準語に訳すと「ガンド猫に咥えられて連れ去られてしまうよ」といったところだが、ガンド猫に相当する標準語が見つからない。当時…

髪もひげも伸びて乱れて

むかし、永六輔のラジオで聞いた話。ナターシャセブンのバンジョーのひとが歩いて帰宅する途中(京都在住)、町中でアメリカ白人のヒッピーと知り合った。そして野宿しようとする彼を無理やり家に連れ帰り、泊めてやった。 翌朝、めしを食っているとき。旅人…

畜産農家の前

子供の頃の、遠い遠い遠い夏の日。いとこと歩いて遊びに行く途中、ある酪農農家の前を通ったら。牛舎から脱走してきた牛が一頭、こちらに角を向けて迫ってきた。 我々は一目散に、図ったわけではないが(そんな余裕すらなかったけど)それぞれ別々の方角に走…

畜産農家の前

子供の頃の、遠い遠い遠い夏の日。 いとこと歩いて遊びに行く途中、ある畜産農家の前を通ったら。 牛舎から脱走してきた牛が一頭、こちらに角を向けて迫ってきた。 我々は一目散に、図ったわけではないが(そんな余裕すらなかったけど)それぞれ別々の方角に…

知らない方がいい事実

知らなかったころには全く気にならなかったのに、なまじ知ってしまったばかりに気になって仕方ないこと。 たとえば、イヤホンに右左があるということ。 知らなかったころは、どっちがどっちでも全然気にならなかったが。 知らなきゃ知らないで違和感もなく使…

少しだけ滲んだアドレス

ラジオで「あの日にかえりたい/ユーミン」が、かかった。実は歌詞に前から気になっていたところがあり、それを頭に置きながら聴いたのだが。今回も、疑問は解決しなかった。 なので今回はそのことについて書き、皆々さまの解釈を求めたい次第。全歌詞の内容…

眠り

うとうと寝落ちしそうな時、よく見る夢。車を運転していて、いきなりブレーキが効かなくなる夢。しかも、山下りで急カーブの連続。 ハンドル操作で何とか乗り切るうち、目が覚める。車を運転するようになってから、見始めた。40年近く見ている計算になるが、…

絵が見える

「セットの案がすぐ決まる曲は必ず売れた」と、秋元康氏がラジオで言っていた。氏は、「ザ・ベストテン」の構成をやっていたのだが。どういうセットでいくかの、作家や美術も含めた全スタッフによる打ち合わせ会議があり。 そこで、方針がすぐ決まる曲。そう…

レコードを買うということ

貸しレコード屋というものが世に現れたのは、二十歳ぐらいのころだった。 世に現れたといっても、自分が住んでいた田舎には殆どまだ出店されていない。 レコードは買うものという意識のまま、我々は大人になった(たぶん最後の世代)。 自分の意志で、自分の…

トラックドライバー

東関東自動車道、酒々井パーキングエリア内牛丼屋。斜向かいに、トラックの運ちゃんぽい人が座ってて。定食を食いながら、電話している。 漏れ聞こえてくる内容を、聞くともなく聞いていると。電話の向こうの相手に、道を教えている模様。千葉のどっかから、…

父の戦争体験

亡き父は、昭和二年生まれだった。一年上の人は兵隊に行き、三年ぐらい下の人は学童疎開。昭和二年生まれというのはその狭間の、徴兵になるかならないかの境目だったらしい。 空襲を体験してる人が多いのも、昭和二年生まれの特徴のようだ。上の人は戦地、下…

ケータイを持たない最後の日本人

世に携帯電話がだいぶ普及してきた2000年ごろ、自分はまだ持っていなかった。類は友を呼ぶというが、周りもアナログ人間ばかり。なきゃないで、あのころはまだフツーに生きていけたのだ。 そんなある夜、某女友達と呑んでいた。話題はいつしか、携帯電話のこ…

M先生

家人が夜中に急に具合が悪くなり、救急病院へ。待合室で待っていると、当直医が診察室から顔を出した。その顔を見てびっくりしたのは、先だって筆者が入院した際の担当医・M先生だったからである。 入院したのは手術を受けるためだったから、M先生は外科医…